2015年6月16日火曜日

今日のフレンチポップス ★ レ・ネグレス・ヴェルト:LES NEGRESSES VERTES / Zobi La Mouche (1988年)

 今日は今年に入り2つ目の記事に予定していたレ・ネグレス・ヴェルトで、1988年の1stアルバム『MLAH』からシングルカットもされた曲「Zobi La Mouche」を。いつも想うこと。“フレンチってお洒落な音楽だけではないよ。”って。ロックもパンクもあるし、シャンソン・リテレールと呼ばれる文学的シャンソンまでとても多様。それらを総じて愛好しています。


 80年代の終わりにとんでもなくカッコいいバンドに出会えた、と今もあの歓喜が蘇ります。レ・ネグレス・ヴェルト!7人から10人以上の大所帯バンドで、皆、生粋のパリジャンではなく混血なのでした。これもまたフランス音楽の魅力ですが、80年代の終わりに登場して来たレ・ネグレス・ヴェルトやマノ・ネグラは画期的でした。ヴォーカルのエルノの吐き出す歌声はジョー・ストラマーを彷彿させ響きました。ザ・クラッシュは初めて買ったパンクロック・アルバム(後追いですが『白い暴動』をジャケ買い)だったので、エルノのヴォーカルがジョー・ストラマーを想起させるということは私にとって大きな意味があったのだと思います。

 レ・ネグレス・ヴェルトの音楽はロックではあるけれど、パンク、スカ、ライ、ポルカ、ジプシー音楽、ケイジャン、アイリッシュなどが入り混じった混血音楽。けれど、フランスが長年培ってきた古き良き音楽をも忘れてはいない。逆に彼等なりのかたちで蘇生しているとさえ思える美しい楽曲もあります。しかし、持ち味というか強烈な個性はやはり歌詞。猥雑な歌詞たるや!フランスの抱える社会的問題もそれらの歌詞の断片から伝わります。パリ郊外の低所得層の出身者たち、それも所謂移民の血を引く若者たちによるストリート・ミュージックから。面白く生き生きとしたスピリットに溢れていてグングン響いてくるのです。猥雑さの中に魂がある。おフランスの良さも好きなのですが、こうしたフレンチポップスをも愛してやみません。


 しかし、惜しくもそのお気に入りのヴォーカリストであったエルノは2ndアルバムの後はもう居ない。1993年にオーヴァードーズで他界されてしまいました。30歳を待たずに。でも、現在もバンドは続いています。フロントマンが居なくなった時の残されたメンバーの戸惑いはどんなだろう...とも想います。そして、私はその後もレ・ネグレス・ヴェルトの作品を聴いている。でも、どうしてもエルノのヴォーカルが好きで初期の二枚の作品を聴く回数の方が多いです。きっと、世界中に同じようなお気持ちのファンが多く居られることでしょう!


2 件のコメント:

  1. うわあ、まさか2015年にレ・ネグレス・ヴェルトの記事にお目にかかれるとは思いませんでした!(日本盤が出た)ほぼリアルタイムでアルバムを聴いた人間にとって、テンションが上がりました♪ 彼らの音楽の魅力はまさにchouchouさんのおっしゃる通りだと思います。さすが、お見事な解説ですね!
    ***chitchy***

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  2. chitchyさま、こんにちは。
    嬉しいコメントをありがとうございます!
    レ・ネグレス・ヴェルトは最初はイギリスでの人気の方が高かったのですよね。私は輸入盤で知ったのでバンド構成等は後に知り、先ず、エルノのヴォーカルとサウンドに感動しました。ワールドミュージックという言葉が人気を得ていた頃だったと思います。随分前のアルバムですね(笑)。名作は色褪せないですよね。殊に同時代性のような作品は思い入れも強いです♪

    これからも、どうぞよろしくお願いいたします☆

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